
ジャグリング系技への道
十数年ぶりにけん玉界に戻ってきて驚いたのが、技の種類や見せ方がすっかり変わっていることだった。
たとえば、月面着陸。
この技は、私がけん玉をやっていた頃は、この技ができるだけで歓声が起こるほどのスーパー技だったのだ。そのため、「月面着陸とんぼ返り」や「月面着陸一回転ひねり」などの技は一部の達人にしか出来なかった。
元祖夢元の登場によって、月面着陸が出来る人は増えたが、それでも、そのバリエーション技が出来る人は少なかった。
ところが、昨今のけん玉界は様変わりしていて、「月面着陸ができる」から「月面着陸をどのように見せるか」にシフトしていっているように感じられる。
特に私が驚いたのが、けんと玉をボールジャグリングやお手玉のように片手で素早く投げ上げて、灯台や月面着陸を決める技だ。こんな超絶難度の技は、私には一生かかっても出来ないだろう。
しかし、せめて玉とけんをジャグリングっぽく扱えるようにはなりたい。
というわけで、「フリップ大皿」という技に挑戦してみた。
この技は、大皿をやる間にけんをクルッと一回転させる技である。おそらく、ジャグリング技の基礎中の基礎なのではないかと思う。
幸い、私は「ふりけんつむじかぜ」ができるので、大皿とフリップを組み合わせることぐらい出来るだろうと思っていた。
ところが実際やってみると、これがかなり難しい。
「ふりけんつむじかぜ」は、玉の穴の向きさえコントロールできれば、あとはサクッとけん先に刺さるが、「フリップ大皿」は、玉を皿で受け止めなければならないので、玉の勢いを殺すのがけっこう難しいのだ。
また、けんをフリップさせた後、皿がちゃんと真上を向いていないと、玉が上手く乗らない。これも、「ふりけんつむじかぜ」にはない難しさだ。
けんを綺麗にフリップさせ玉の勢いを殺し、且つ、玉とけんがぶつからないようにコントロールしなければならない。非常に難しい技だ。
夢元無双で練習を始めたのだが、かなりの頻度でけん玉を落としてしまう。あまり落としすぎると、けん玉が壊れてしまうかもしれない。
そこで、フリップ大皿の練習は、大空でやることにした。

私が大皿フリップをマスターするのが早いか、大空がぶっ壊れるのが早いか、どっちだろうか。